血圧を理解するには、まず血液自体を理解する必要があります。血液は全身をめぐっています。
なぜ全身をめぐっているのでしょうか?
それは、全身の細胞に酸素と栄養を届けるためです。胃や腸で消化され吸収された栄養は、そのままでは全身まで行き渡りません。また、肺で酸素をとり入れますが、この酸素も全身の細胞に届ける必要があります。この栄養と酸素を届ける役目が血液にはあります。
体の隅々まで栄養と酸素を届けるために、血液は体中を駆け巡ります。これを血液の循環といいます。
血圧は、血液が血管の壁を内側から押す力です。血液の循環がよくなるということは、血液が流れやすい状態になるということです。
血管の詰まりがなくなり、血液がスムーズに流れやすくなること。血液がサラサラで、流れやすくなること。血液の循環が良くなるとは、この両方を意味します。どちらも血圧は下がります。
目次
血液が循環することで栄養と酸素が届く
血液は心臓から全身に送り出されます。どれくらいの量の血液が、どれくらいの勢いで身体を駆け巡っているかご存知ですか。
毎分約5Lの血液が、心臓から送り出されています。しかも24時間休むことなくずっとです。この血液は、約20秒間で全身をめぐり心臓に戻ってきます。意外と早く血液が循環しているということが分かります。
血管がどのようなものか説明します。血管の長さを全部つなげると、おそろしい長さになります。10万kmです。毎分5Lの血液が心臓から送り出され、全身の血管を通っていくのです。
血管には動脈、静脈、毛細血管があります。動脈・静脈は大きな血管です。毛細血管は、全身にある細い血管です。全体の血管の90%以上が毛細血管です。
毛細血管がどれくらいの細さかというと、約7μ㎜です。どれくらいの細さか想像できませんね。シャープペンシルの芯よりも細く、髪の毛の太さの20分の1です。
髪の毛よりも細いことに驚きですが、20分の1という細さにも驚きです。この細い管の中を血液は流れます。血管の中を血液が循環しているのです。
胃や腸で消化された栄養は、腸の腸絨毛(ちょうじゅうもう)から吸収されていきます。吸収された栄養は、血液やリンパ液と一緒に体の各部に運ばれていきます。
肺で取り入れられた酸素は、肺の中で血液に溶け込み、赤血球のヘモグロビンによって全身に運ばれていきます。やはり、酸素も血液によって運ばれていくのです。
栄養や酸素だけではありません。身体の中で使われ、必要なくなったももの血液と一緒に運ばれていきます。腎臓で集められて尿として体の外に出されるのです。
血液の循環は、体の外から必要なものを取り入れて、不要なものを身体の外に出すための活動です。
血行が良くなるとは、血液の循環が改善されること
よく「血行が良くなる!」という言葉を耳にします。血行が良くなるとは、血液の循環が良くなるということです。毛細血管は全身に張り巡らされていますが、血液のめぐりが良いところと、そうでないところがあります。
血液のめぐりが良くないところでは、栄養や酸素がなかなか届けられず、細胞の活動も弱っていきます。その部分の新陳代謝は低下し、体温は下がります。足の指先が冷たくなったりするのはこのせいです。
血行が良くなるとどうでしょう。全身がポカポカして、温かくなります。身体の隅々まで血液がめぐっているので、酸素と栄養も十分届いています。
スポーツの後に全身が温かいのはこのためです。
血行が良くなるとは、血液の循環が良くなるということです。ではどうすれば血行、つまり血液の循環は良くなるのでしょうか。
血液の循環を良くする方法
血液が循環する意味はご理解いただけたと思います。では、血液の循環は、どのようにして良くなるのでしょうか。血液の循環は、主に3つのことで良くなります。
・運動する
・詰まりをなくし、血液をサラサラにする
全部、血管を拡げ血液を流れやすくするということです。身体を温かくすれば、血管が拡がり、血液が流れやすくなります。運動すれば心臓のはたらきは高まり、血液を流れやすくします。
血液がサラサラになれば、余計な抵抗がなくなり、血液が流れやすくなります。
温泉につかると血行が良くなるのは、このためです。
それでは、血行を良くする3つのことを紹介します。
体を温かくすると血行は良くなる
体を温かくすることで、血液の循環は良くなります。身体を温かい状態にする方法には、次のようなものがあります。
・温泉に入る。
・暖房器具を使う。
・温かい食べ物を食べる。
・温かい飲み物を飲む。
どれも簡単にできるものばかりですが、おすすめは温泉です。温泉には、体を温める効果と泉質によって体を温める効果の二つがあります。ダブルの効果で血行を良くしてくれるのです。
また、温泉に入るときには、通常のお風呂よりも時間をかけて入る場合が多いです。せっかくの温泉だから、体の芯まで温まろうと、温泉を満喫するのです。結果、長時間温泉につかることになりますので、体はかなり温まることになります。
さらに温泉内で、体をマッサージすることで血行は良くなります。とくに血液の循環で重要なのがふくらはぎです。ふくらはぎを足元から膝の方に強くマッサージしていくことで、血行はかなり良くなります。
温かいものを食べるのも有効です。冬は鍋といったように、体を温める定番メニューもあります。温度が高い食べ物を食べることで、自分の体温も上がるというわけです。ちなみに辛い物でも体温は上がりますね。でも、刺激が強いものは血圧にはよくありません。
辛い物よりも温かいもので、体温を上げるようにしましょう。
運動すると血行は良くなる
運動することでも血行は良くなります。厚生労働省によると、健康の維持増進のために1日30分以上の有酸素運動が推奨されています。
有酸素運動とは、呼吸をしながら行う運動のことです。ジョギングやサイクリングなどが有酸素運動になります。
何と言ってもおすすめは、ウォーキングです。当サイトでも、効果的な歩き方等は紹介していますが、血液の循環を良くするにはピッタリの運動です。
その理由は脚にあります。血液は、心臓のポンプ作用によって体の中を循環しますが、ふくらはぎは「第2の心臓」と呼ばれ、血液の循環を助けます。
具体的に説明します。歩くときにふくらはぎの筋肉が収縮します。ふくらはぎには足首と全身をつなぐ血管が通っています。このふくらはぎの筋肉が収縮することによって、足元の方にたまりがちな血液を、上に押し上げるのです。歩くたびに血液を押し上げるので、血液の循環はかなり良くなります。
なるべくふくらはぎの筋肉を使って歩くことがポイントで、歩きながら血行が良くなり体が温まったことを実感できます。地面を蹴るように歩くことがポイントです。
ウォーキングは、ふくらはぎを使いながら歩くことで、効果的に血行を良くすることができる運動です。しかも、体への負担も小さいです。
血液サラサラで血行は良くなる
血液をサラサラにできれば、血行は自然と良くなります。しかし、血液サラサラは簡単ではありません。水を飲めば血液が薄くなるといった単純なことではないのです。
血液をサラサラにするには、食生活を改善する必要があります。必要以上の塩分や糖分を抜き、血液に余分な栄養がなくなることで血液はサラサラになります。
具体的には次のことを気をつけて食事をとるようにします。
・野菜を十分にとる
・塩分、糖分は控えめに
・食べ過ぎない!腹八分目
魚には血液中の中性脂肪を減らし、血液をサラサラにする成分DHA・EPAが含まれています。魚にしか含まれていませんので、積極的に魚を食べる必要があります。
食事をお腹いっぱいに食べていると、カロリーがオーバーし、コレステロール値も上昇します。血液がドロドロに近づくのです。
食事は常に腹八分目を心がけ、血液中のコレステロール値の上昇を抑えなければなりません。
血液をサラサラに近づけるためには、これらのことを2か月3か月と続ける必要があります。数日間なら簡単にできそうな食事の改善ですが、ずっと続けるとなると困難です。
しかし、意識して改善を続ければ、きっと健康に良いことが返ってきます。頑張って続けましょう。